ポイントカードはお持ちですか?


掃除機と粘着テープで丁寧にゴミを取られたカーペットに、ひたすらゴロゴロする。

寝てしまいたいのに、眠れる気配もない。

ずっとつけっぱなしのテレビは、何の番組をしているのかすら不明だ。

没頭することを求めて作った大量の炊き込みご飯と煮込みハンバーグという珍妙な取り合わせで食事を済ませて、暮れゆく空ばかり見て過ごした。

寝ころんだまま薄ぼんやりした空を見て、いつか伊月君と見たかわいいピンクの夕焼けを思い出す。

富樫さんはいいと言ったけど、こんな状態の人間を妻として彼はいいのだろうか。
今は伊月君を好きでも、いずれ忘れるから問題ないという判断だろうか。

当たり前だよね。
いつまでも昼夜なく伊月君を想っているはずない。

いつか富樫さんと普通に食事して普通に眠れるときがくるはずだ。

・・・普通に眠れる?富樫さんと?

当たり前だよね!夫婦になるんだからそういうことだよね!

富樫さんだってご両親に孫を見せたいって言ってたし、私だって子どもが欲しいって言った。

まさかコウノトリさんが運んできてくれるはずはないわけで。

・・・・・・・・・・・・・。

想像つかない。
いや、想像はしっかりしてみたんだけど、実感がわかない。
富樫さんは素敵だけど、人間として魅力的だと思うし、信頼できる人だけど、そういうのとはちょっと違う。
< 107 / 143 >

この作品をシェア

pagetop