ポイントカードはお持ちですか?
おじさんに何度もお礼を言って別れ、数時間ぶりに車を走らせてすぐ、
「咲里亜さん」
隣から不穏な声が聞こえてきた。
嫌だなー。怖いよ。
「きさくに声をかけるのはあなたの長所だけど、必要以上に慣れ慣れしくしないでね」
「そんなつもりはないんだけど」
「良二さんになんて、いつもベタベタベタベタ触られてるでしょ?」
「言われて見ればそうだね。でも向こうだってそんな気ないよ?」
「ダメ」
心が狭いな。
「あーはいはい。わかりましたー」
「また適当に返事して」
ブツブツ文句が聞こえたけど、無視することにした。
「早く帰れてよかったね」
「俺はもっと長くてもよかったんだけど」
「私はあったかいお風呂に入って、あったかいお布団で泥のように寝たいよ」
「寂しいこと言うね」
「一緒に寝たらいいじゃない」
「早く帰りたい」