ポイントカードはお持ちですか?
庁舎で解散しようと思ったのに、伊月君は、
「咲里亜さんの家に行く」
と、譲らなかった。
そんな急に言われても、人を招けるような状態じゃない。
何より、寝たい!
「一緒に寝ようって言ったくせに」
「それは・・・また今度ね」
「また適当に言ってたんだ」
「う・・・気持ちは嘘じゃないよ。でも今日だって仕事だし、休んでおかないと」
「わかった。一度咲里亜さんの家に行って準備してから、俺の家で一緒に休む」
彼の中でどうしても譲れないらしいので、仕方なく従うことにした。
随分言い出しにくい空気になってしまったが、あともうひとつ大事な取り決めがある。
「伊月君、あのね、私たちのことは内密にしてくれる?」
ああ、ものすごーく不満そうだ。
伊月君って人前でベタベタするタイプに見えないからすぐ賛成してくれると思ったんだけどな。
「誰にはばかることがあるっていうの?」
「ないけど、伊月君とは一緒の案件も多く持ってるし、周りも気を使うと思うの。どうせあと3ヶ月で異動でしょう?それから堂々と付き合えばいいじゃない」
「・・・わかった」
うーん、納得はしていないみたいだ。
ま、いっか。
だって眠いし疲れたし、それでもすぐに仕事だし。