ポイントカードはお持ちですか?


「でも好きなんだも~~~ん!!」


これまでの会話すべてを無に帰する言葉を、テーブルにゴンッと頭を打ち付けて吐き出す。

すでにグラスは・・・もう何杯か忘れたけれど、かなり空いた。


「美しい文書。ほとんどマンガ状態の席図。それでも期日までには仕上げてくるスピード。全部全部、惚れ惚れするの~!」

ゴンッ。

「要領悪いんだね~」

ブチッ。

「私には不愛想だけど、いい笑顔するんだよ~」

ゴンッ。

「裏表ありそうだね~」

ブチッ。

「地権者の方からも業者さんからも信頼されてて、年下なのに尊敬する~」

ゴンッ。

「不器用そうだね~」

ブチッ。

「もうボッロボロでもモッサモサでも格好よくしか見えない~」

ゴンッ。

「なんだか歪んでるね~」

ブチッ。

私はテーブルにゴンゴン頭を打ち付けながら、有紀は紙ナプキンを細かくちぎって一列に並べながら、ひたすら不毛な会話を続けた。


これでいいのか30歳。
いや、絶対によくない。





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