レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
それから私たちは、他愛もない話で盛り上がった。
就職のこと、ゼミのこと、バイトのこと……。
梓はまだ何か言いたそうだったけれど、半ば無理やり話を逸らした。
これ以上、今の君を知るのが怖かった。
もう私のことなんか忘れて、毎日を楽しく過ごす君を想像するのが……怖かったんだ。
「……あ、私もうバイトの時間だ。
ごめん梓、また今度授業でね」
「うん。私はもう少し時間潰してくわ」
「ん……わかった」
この後、別の友だちと会う約束があると言う梓を残し、私は代金を置いて席を立つ。
時刻は午後4時を回ったところ。
何だかんだ言って、4時間近くも話していたらしい。
店内の窓越しに外を見ると、
まだ少し小雨がパラついているようだった。
……もういい加減止んで欲しい。
その時の私はきっとまた、居たたまれない表情をしていたのだろう。
梓の心配そうな視線が背中に向けられているような気がした。