【短編】大嫌いな君にデートに誘われたって行くわけないでしょ。多分。

ねぇ。白山くん。

君の初めてのキスが私でよかったのか。
今もまだ時々、不安になるよ。


でも、私の初めてが白山くんでよかったと、心から胸を張ってそう言える。


あの時の君の笑顔や、声、仕草やたくさんの温もり。今思うと全部がとても愛おしくて、私の最高の宝物だよ。


正直、もっと早く出会ってたら。
もっと早く病気のことをわかってたら。
なんて、考えることもまだあるけど。



決して長くはなかったあなたとの時間だけど、あの1つ1つの瞬間がどんなものにも変えられない素敵な時間だったのは間違いないから。


大嫌いだったのに。
大好きになっていた。

私を好きになってくれて本当にありがとう。


実は昨日、白山くんにデートに誘われる夢を見たんだ。


変わらない優しい笑顔で。

夢のはずなのに暖かい手でギュッと私の手を握りしめてて。

君は私の目をジッと見つめて言ったんだ。



「俺とデートしてくれない?」




「するに決まってるじゃん……絶対」






───END───


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