縁側で恋を始めましょう

――――

「暁、これ……」
「なにこれ?」

家に帰り、暁に封筒を手渡すと驚かれた。

「足りないかもしれないけど、食費」
「食費?」

何を今さらという表情だ。でも今更だろうが何だろうが、渡さなくてはならない。

「いままでごめんね。食費大変だったでしょう?」
「いや別に……、何急に」
「うん、笹本たちと飲んでいて気がついたの。食費渡していなかったなって」

二人分は足りるだろうという額を手渡すが、暁はチラッと中身を確認しただけで、ため息をついてテーブルに置いた。

「別にいらないけど」
「はぁ? 何言っているの。生活費なんだから受け取りなさい」

そう言ってずいっと差し出すと、黙ってずいっと戻される。
ムッとしてもう一度差し出して暁を睨むと、ため息とともに黙って中身を少しだけ抜かれた。


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