縁側で恋を始めましょう


「暁君が、紗希にはいずれ自分で言うからって」
「何それ!」

いずれ言うって、何も言わなかったくせに! 

三年間も知らなかった。
頭を抱える私に、母は面白そうに笑った。

「恥ずかしかったんじゃないの? 詳しくはお隣にでも聞いてみたら?」
「あぁ……、うん」

そう言われるが、それには曖昧に頷く。
だって聞いてみたい気もするが、もしかしたら暁が帰っているかもしれない。
会いたいと思って実家にきたくせに、いざ顔を合わせるとなると少し気まずい。

「いや、でも暁がいたらちょっと……」
「暁君なら今一人暮らししているでしょう? 最近は帰っていないみたいだし大丈夫よ」

え?

「帰ってないの?」
「帰ってきたらお隣がそう話すと思うもの」

母同士のそういった情報はたいがい間違っていない。


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