縁側で恋を始めましょう


そうか、今更か。

「知ってたんだね」

暁が作家デビューして三年。これだけ有名な作家になったのだ。
とっくに暁の両親から聞いているのだろう。
だったら、私にも教えてくれたっていいのに。

「どうして教えてくれなかったの?」
「んー、教えたかったわよ。でもお母さんたち、暁君から紗希には絶対に言わないでって口止めされていたし……。そもそもあなたはすでに知っていると思っていたわ」
「え、まって。暁に口止めされていたの?」

驚くと「そうよー」とあっさり頷かれる。


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