縁側で恋を始めましょう


ということは、実家に戻ったわけではないのだろうか。
どうしよう。本当にいないのかな。

それはそれで残念だ。
いやでも、母が知らないだけで、暁が帰ってきていたら……。
話ができるかもしれない。
うーん、と悩んだが、どちらにしろ冴島家へ行かなければわからないことだ。
よしっ、と意を決して隣へ向かった。

インターホンを押して、隣を訪ねると暁の母が笑顔で出迎えてくれた。
ウチの母とそう変わらない年齢だが、相変わらず可愛らしい顔をしている。
そういえば、暁の父も背が高くがっちりとしていて男前だ。
暁のあの整った顔立ちは、両親の良い所取りのような気がする。

「あら、紗希ちゃんじゃない! 帰っていたの? 久しぶりねー」
「おばさん、お久しぶりです。あの……暁って帰ってきています?」
「暁? 帰ってないけど? あのこは家を出て都内で一人暮らししているのよ」

やはり帰ってきていないのか。

< 94 / 125 >

この作品をシェア

pagetop