雪の日に祝福を…。
  


「嫌ではないのだけれど・・・それでいいの?」


「はい、病院で死にたくないんです。ご迷惑おかけします。」


「いいえ。私があなたの様子を見に来ても構わない?」


「はい。仕事もしないので暇してますから、来て下さい。」


 笑顔を向けて答えた。

 保健師は、安心した表情で帰って行った。


 》 》


 寂しさなどどこかに消えてしまった。
 第2の別れが私の感情を崩したのだ。

 独りで目覚め誰にも逢わず1日が過ぎても死への準備だと何も辛くも寂しくもない。

 探されることもないと・・・思っていたの。


 《 《


「若狭さん、すぐにお薬入れますからね!」


「ん・・・。」


 病魔の進行は著しかった。
 引っ越しをしてから経った3週間ほどで緊急搬送されることが多くなっていた。

 町の小さな病院で点滴処置をしてもらい帰る。そんなことが多くなり医師からは、元の病院へ戻るようにしつこく言われていた。


「緩和ケアは、病院でも出来る。戻りなさい。」


「さじを投げるのですか?」


「そう思われても構わない。穏やかな最期を迎えて欲しい。」


「次、倒れたらそっちに搬送して下さい。」


  
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