雪の日に祝福を…。
  


「いいえ。お義母さんはどうされました?お義父さんに何か?」


「ああ、知らないんだったわね。」


 少し表情が曇る。


「どうしたんです?」


「瑠々ちゃんが妊娠中毒でね。」


「危ないんですか?」


「ふふ、離れていても姉妹ね。」


 柔らかな笑顔にハッとした。無意識でも〝心配〟していた。


「自然分娩は、難しいらしの。」


「じゃあ、帝王切開・・・・・・ですか?」


「そうなるわね。心配で・・・・・・私も弦を流産しかけて早産で生んだから。」


 不安そうに語る人に慰めの励ましの言葉も出なかった。
 自分は、独りで死に逝く身。母親にもならず。しかし今は、母親に無事させてあげたいと言う思いを持った人が目の前に居る。全く自分とは、正反対の立ち位置にいる人が異世界の住人に見えた。


「ごめんなさい。こんな話し月依ちゃんにするなんて。」


「いいえ。いつもあの子を支えてくれてありがとうございます。私は、立ち会えませんが宜しくお願いします。」


 気遣ってくれる人の手を握り笑顔を向ける。


「ええ、任せて。きっと元気な子が生まれるわ。」


「はい・・・。」


  
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