雪の日に祝福を…。
◆14◆ 優しさに祝福を
今でも思う。
この不公平で不平等な私の世界でいったい何を成し得て来たのだろうか。
虐げられたなかで私の輝きは、なんだったのだろう。
出来ることなら彼の夢を後押ししたあの日々に〝良くやった〟と言われたいものだ。
《 《
「いつまで居る気。」
目が覚めると辺りは暗い。どうやらまた、深い眠りについていたようだ。
「これくらいしか、出来ないから。」
「馬鹿ね。今更、傍に来ても遅いのよ。」
身体を起こして時計を見ると深夜1時を回っていた。
「初産の妻を放って何をしてるのかしらね。」
「解ったよ。」
肩を落として去って行く。
「もう、来るんじゃないわよ。」
傷付く背中に追い打ちをわざと掛けた。
「うっ!」
ベッドを出て便器にしがみつく。
「フフ、無様だわ。」
置かれている状況が惨めすぎて笑いが込み上げる。
「若狭さん、大丈夫?」
見回り中の看護師にまんまと見つかる。
「吐き気止め・・・切れたかも。」
「立てる?」
「はい・・・。」
答えると支えられてなんとか立ち上がる。