雪の日に祝福を…。
  


「部屋に戻ったら薬入れましょう。」


「はい。」


 細身の看護師に呆気なく支えられてしまう自分が情けなかった。


 》 》


「お久しぶりです、マスター。」


「おお、燵夜。久しぶり、今度個展開くんだって盛況だな。」


 弟のように可愛がっていた青年の訪れに満面の笑みを向ける。


「お陰様で。」


 照れ笑いを返してカウンターに座る。


「月依、さん・・・ってどうしていますか?」


「なんだ、訊いてないのか?」


「・・・え?」


「あいつは、会社も辞めてマンションも引き払ってな・・・居なくなったよ。」


 それは、突然のことだったのだと青年に話しをした。


 会社には、やはり居辛く。別の企業からも多くのヘッドハンティングの誘いが来ていて年齢的にも他社に移るなら今しかないと思い全てを1からやり直すつもりで長年暮らした土地も離れ縛られずに唯一暮らした高校のある土地に引っ越しをする・・・と。

 海が毎日見えて毎日新しい自分で暮らせる場所に行く。


「連絡は、取り合っていますか?」


「いいや。落ち着いたらくれるって言うのを信じて待ってる。」


  
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