雪の日に祝福を…。
「別れたのに、未練がましいんですけど・・・逢いたくて。」
それは、本音。
1日たりとも彼女を想わない日はない。
楽しく愛おしかったあの日々の欠片に触れたくてマンションを訪ねたが彼女の表札は無くなっていた。
父親の圧力の所為なのかとも思ったが問い質<タダ>せば彼女に迷惑をかけそうで出来なかった。会社前で待ってもみたがついに彼女と逢うことは出来なかった。
「あいつもそう想ってる。」
「マスター・・・?」
「お互いに相手を想って忘れていなければいつかまた、逢える。」
優しく青年を励ました。
かつての自分が重なって見えたのだ。
「マスター。ありがとう・・・。」
和やかなムードが二人を取り巻く。
カラン・・・
「いらっしゃいませ・・・って、新米パパがどうした?」
店に現れたのは、もう1人の姪の旦那。
「こんばんは。強いの下さい。」
「おいおい。瑠々、帝王切開で大変だったんだろう?こんな所に居ていいのか?」
気分が落ち込んでいるような彼が気になり声を掛ける。
「今夜は飲みたいんです。」
「程々にしておけよ。」