雪の日に祝福を…。
「ああ、まただな。」
夕方が目覚めると朝になっていて再び意識を手放していた事に気が付いてため息が出る。
「先生。」
「なんだ?」
「妹と姪っ子が今日退院なの。」
時計の時刻は、その時間に押し迫っていた。
「それで?」
呆れたような声が返って来た。
「退院をちゃんと見送りたいから戻ってからきちんと点滴受けるから・・・。」
「解った。なるべく早く戻れよ。」
「はーい。」
出て行く主治医に笑顔を向ける。
立ち上がり収納ボックスから着替えを取り出す。
「綺麗にしなくちゃね・・・。」
病院着をベッドに脱ぎ捨てて車椅子に腰掛ける。この日の為に人通りの少ないルートを見付けておいたのだ。
》 》
「ここって・・・」
タクシーが着いたのは、とある大きな病院だった。
「いま、妻子が居て今日退院なんだ。」
「そう、ですか。見送りに来るってことですか?」
「まぁ、落ち着いて。とりあえず俺が話しをしに行くからここで待ってろ。」
「解りました。」
去って行く男を見つめながら彼の人を想う。