雪の日に祝福を…。
◇5◇ 失った世界の景色
キラキラと輝く場面を毎日見るようになってお酒を煽っても眠れなくなった。
瞼を閉じると私が着るはずのドレスで私が歩くはずの道を歩いて私が立つはずだった所に立ち笑っている妹が浮かんで消えない。
報復が思わぬ副産物を生んでくれたようだった。
私の心は、どんどん蝕まれる。それなのに目覚めいち早く出社し昨日の仕事の続きをこなす。
しかし前ほど捗(ハカド)らない作業。残業をしても終わらない仕事・・・。同じ職場に意地を張ったツケも来たようだった。
それでも黙々と机に向かっていた私を誰も窘(トガ)めることが出来なかったらしい。
全く弦くんの言った通り“狂っちゃった”のかも・・・しれない。
今ならそう思う。
そんな私の私生活は、なくなっていった。
《 《
1週間彼が席に居なかった。理由は、簡単だ。
新婚旅行へと行ってしまったから。
「若狭くん。」
部長に呼ばれオフィスに入る。
「最近調子はどうだい?」
「何ですか急に。」
結婚式以来腫れ物に触るような態度をされていただけに気味が悪かった。
「いや、仕事に集中出来ているかな・・・とね。」