雪の日に祝福を…。
「無事に戻ったよ。」
特別な感情などないことは、解っているし誰にでも人当たりのいい笑顔に心をざわつかせている場合では、ないのだが時が止まればいいと感じていた。
「瑠々も赤ちゃんも無事。」
新婚旅行の報告をされて現実に気持ちも頭も戻った。
「よかった。でももう私には、関係ないから。」
くれたコーヒーにさえ目を向けずに仕事に集中する。
「おー帰ったな、新婚さん。」
部長の無神経な物言いに飴と調子よく食べてきた朝食がせり上がってくる。
「子どもが生まれたら2人でなんてそうそうないからな。楽しんできたか?」
「はい、おかげさまで。」
「(ダメ・・・・・・)」
ガタン!
「若狭・・・居たのか。」
「どうぞ、続けて。席を外すので。」
気を利かせて出て行ったように仕向けた方が楽だった。
走って個室にこもると全てを戻した。
「うっ、うぅ・・・・・・。」
涙がボロボロと零れ落ちた。
》 》
初めて手にした愛の後遺症は、重かった。今でも思い出す。
こんなにも脆くなれるものかと・・・感じていた。
自分がお膳立てした倖せが心を蝕む。