雪の日に祝福を…。
◆6◆ 年下の男の子
“愛”をなくし足踏みの私を苦しめたのは自分自身だった。
些細な同僚との彼の会話の端々に私が得られなかった“倖せ”が垣間見えたからだ。
上向きのつもりが実は全くの逆向きだったのだ。
《 《
体調の変化は、気分と比例するんだと身に染みていた。
「若狭、顔色悪いぞ。」
「大丈夫。ただの寝不足。」
「早退したら?」
「大丈夫だって言ったでしょ。鈴村くんが居ない間私が仕事代わってあげてたのよ。」
からかうつもりで口にした。
「ごめん、無理させたんだな。」
「(なんで謝るのよ。)」
心では悪態をついたが現実では何も言えず無視した。
「俺が仕事代わるから休んでいいぞ。」
「大丈夫よ。冗談も通じないのね。」
にっこりイタズラっぽく笑って見せる。場を凍らせない最善の策を講じる。
「あ・・・」
「ふふ、本気にしたの?」
「からかったな!」
「仕事好きの私を忘れてたわね、薄情者。」
笑ってデコピンをお見舞いする。
「痛っ!!」
「ほら、席に戻って仕事しなさい。」
自分の前から追い払う。