雪の日に祝福を…。
◆8◆ 二人の夢
  


 あの日々が私を今も離さない。
 明るい笑顔に屈託のない彼の夢。そんな生活が私をも変えた。


 《 《


「おはよう。」


 声を掛けられて目覚める。この1週間自分で目覚められたためしがない。
 全く若い彼氏を持つ大変な本当の理由が解った気がした。


「おはよう、燵夜くん。」


「ごはん、作るね。」


「要らないわ・・・。」


「今日から職場でしょう。ちゃんとご飯食べないと。」


 抱き起こす。


「ほら、起きて。」


「なんで疲れてるか解ってる?」


「ごめん、でも若いから許して。」


「もう。」


 本気で怒ってなんかいなかった。他愛ない会話だった。


「じゃあ、準備するから食事お願い。」



「はーい。」


 明るく返事をしてキッチンに向かう。


「ボーッとしてる場合じゃない。」


 事件から早くも半月以上経っていた。
 職場では、どんな噂が立っていることか。


「燵夜くん。大学は、まだよね。」


「うん。でも、月依さん仕事だからゼミにでも出ようかな。」


「いいんじゃない。でも、なんのゼミに?」


「俺、画家になりたいんだ。」


  
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