雪の日に祝福を…。
  


「私は・・・・・・」


「うん。」


 柔らかな笑顔を向けられる。


「私は・・・・・・
(ダメ。認めたら、戻れなくなる・・・・・・。こんな若い子を相手に。)」


「訊かせて、月依。」


 ドックン!!


 どこかで落として無くしてしまった感情が胸を強く揺さぶる。


「ダメ・・・なのよ。
(どうしても、その存在が…私を捕らえて放離さない。)」


「答えて。月依は、俺が嫌いなの?」


 真っ直ぐに見つめられて静かに首を振った。すると満足げに笑い額にご褒美のような柔らかいキスを落とす。


「私は、燵夜くんと居る時の空気が好き。当分こんな気持ちになんてなれないと思ってたのに・・・。」


「ごめんね、月依の気持ちを待とうと思ったんだけどあの人がしつこくマンションに来るから。」


 答えて正面から彼女を抱き締める。

 再び唇が重ねられる。外は、雪が舞っている。

 棄てた日にも雪が降っていた。心のシーソーが彼を捕らえて離さない。


 》 》


 要らないって、思っていたのに。
 温もりなんかもう二度と・・・。

 あの温かさが今でも私を捕らえて離さない。


  
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