雪の日に祝福を…。
   


「はい。」


 重たい返事を返すと去り際に肩を父に叩かれた。
 悔しかった。


「ごめん・・・折角俺だけって言ってくれたのに。」


 悔しくて悔しくて彼女の誓いの言葉を思い返して涙が零れる。


 コンクールの選考が3週間で終わってしまう。それまでに別れの準備をしなくてはならない。


「月依・・・・・・。」


 わずかな希望が飛び立った。


 》 》


 初めから上手くいかない恋だったのだ。

 愛を知らず蝕まれた私が手にしようとしたのだから。誰かに邪魔されて良かったのだ。

 永遠など誓っては、いけないから神様がお膳立てしてくれたのだ。
 私は、そう思っている。
 今でも彼を想っているがそれは想い出。心を癒やす柔らかな・・・想い出。

 彼と歩かない未来は、初めから決まっていたんだと今も解っている。


 《 《


「もうすぐ発表ね。」


 受賞作品の発表まで1週間を切っていた。


「月依さん。」


 緊張した面持ちで呼ばれた。


「何?」


「発表の日に訊いてほしい話しがあるんだ。」


「改まってなんなの?」


「いいから、黙って訊いてほしい。」


   
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