夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
〈回想シーン〉

22歳の時、
ずっと大好きだった人との結婚が決まった。
…でもね、彼は知らない。

お見合いで結婚が決まった私達。
彼は私と見合いの席が初めての出会いだと、きっと思ってる。


私の父は夢の配達人だった。
あまり有名な人ではなかったけど、優しい父に連れられて私は子供の頃からよく隠れ家に来ていた。
その時に、いつも見ていたの。
広場で二人で組手をする、私よりも三つ年上のお兄さんを…。

私は運動音痴で消極的だから見ている事しか出来なかったけど、楽しそうに組手をする二人のお兄さんはキラキラと輝いて映った。


……特に、背の高い可愛いお兄さんの方。
優しい表情で、垂れ目の目を細めて、隣にいるお兄さんをいつも見つめているの。
その女の子みたいに可愛いお兄さんは、夢の配達人のマスターさんの息子さんで”シュウ”という名前だと父に聞いた。
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