プルシアンブルー“俺が守る”
「いや、ないですけど…」


『鳴鎧は組対にはいなかった。桧亨は組対にいたんだが、きたメールを読んだ後、慌ててどこかに行ったままらしい。』



爽築はコールはするが出ないし、喝宥に至っては携帯の電源すら入っていない。



超坊が焦っている理由は、二人が何も告げずに連絡を絶っているということ。


そして。



「課長、桧亨譲琉は部屋にいませんでした。それに、」



目の前に広がる部屋の状況を説明した。



『………。分かった。矛桶と栃元は桧亨譲琉の捜索、お前は手掛かりがないか部屋を調べろ。緊配を掛ける。』



超坊により緊急配備が発令され、矛桶と栃元は急ぎ捜索を開始した。



六畳ほどのワンルームには、布団と小さい机に置かれたノートパソコン、ラックに掛けられた服と、写真を除けば生活感があまりない質素な部屋。



幸運なことにロックがかけられていなかった一番めぼしいノートパソコンを開くと、表示された画面には繋がったままのインターネット。



「くそっ、ビンゴかよ…」



劇薬を販売する会員制の裏サイトらしく、閲覧履歴や購入履歴には栃元の資料にあった被害者に使用された薬物名が幾つも並んでいた。
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