プルシアンブルー“俺が守る”
「お疲れ様です…。左隈の方は?」


「こっちも似たような感じね。」



左隈と岐微浜の現場は、賑やかなショッピングモールの従業員用休憩室。


警備員の梺屓賤恭(フモトギ シズユキ)が、高級な日本酒に混入されていたシュウ酸カルシウムで中毒死していた。



「は?職場に酒か?」



「ええ。警備員の給料で買える代物じゃないし、そもそも熨斗が付いていたのよ、御祝いって。」


「発見された場所が従業員用のロッカールームなので、隠れて飲んでいたのは間違いありません。」



酒がある理由も飲んだ理由も不明だ。


ただ一つ分かっているのは。



「なんかありそうだな、その警備員。」


「矛桶さんの勘は当たるから止めて下さい…」



単なる自殺や事故死では片付きそうもないということだ。



「俺の話を聞けっ!」


「煩いぞ、鳴鎧。」



存在を無視され続けていたのに事件の話には興味があって、つい聞き入っていた喝宥が声を上げる。


が。


同時に姿を現した課長の超坊(コボウ)警部に、一蹴りされてしまった。


姉さん女房に尻に敷かれているのに部下には厳しい、外面だけは良い上司の典型である。
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