プルシアンブルー“俺が守る”
「凄い雨だ。てるてる坊主でも作っておけばよかったかな。でも、前歯をひっくり返すと顔の形とほぼ同じで身元確認に使われるって書いてあったから、これを使うには最高か。」



これとは数袋にもなる石灰。



水分を吸収することで熱出す性質があり、どしゃ降りの中で遺体の周りに撒けば雨水で腐敗速度が早まり短期間で骨となる。


照合は歯形になる場合が多いので念入りに掃除…つまり隠滅をしないと証拠は残るから気を付けよう。


などと食い入るように見たサイトには書いてあった。



「おま、え……な、にが目的だ…」


「うるさいなぁ。せっかく俺が気付いてお前から姉ちゃんを守ったのに、また近付きやがって。」



克治の読み通り譲琉は那釜ロゼ教会にいた。


最前列の椅子に座る譲琉は、数メートル先の主祭壇に凭れ掛かり息も絶え絶えな喝宥を睨んだ。



……遡るは今朝のこと。


出勤時間が近付き爽築に見付からないよう家付近から離れようとした時、背後から声が聞こえ間髪入れず嗅がされたモルヒネによって喝宥は気を失ってしまった。


そして目覚めたはいいが見知らぬ教会な上に、酷いめまいと感覚が麻痺しているのか呼吸さえもし辛い。
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