辛 恋

会社では、そんな日々を送っている中
パパの秘書から連絡が入った。

「直ぐに、アメリカに来るように
社長が言われています。
チケットも用意されます。」
と。
「会社をしばらく休んでいたので
また、直ぐには休めません。
これ以上、迷惑かけられないから
今週の三連休に必ず行きます。」
と、言うと
パパの秘書は、
「解りました。
社長にはお伝えいたします。」
と、言って電話を切った。

その事を、おばあちゃまと壬に
話すと
壬も一緒に行ってくれることに
なった。

知佳は、
「大丈夫?お父さん、怒ってるのかね。」
「たぶんね。仕方ないよ
今回は、心配かけちゃったからね。
それより、ごめんね。
壬にもついて行ってもらうことに
なって。」
と、言うと
「それは、全然いいの。
たまには、一人でゆっくりしたいから。」
と、言うから
知佳の優しさに
久しぶりに笑った。

知佳も、ホッとしたような顔をしていた。

それからは、週末までは
なんなく仕事をこなした。

まだ、影で言う人とか
トイレで会うと嫌な顔をする
人もいるけど。

それだけの事をしたのだから
と、あきらめの気持ちもあった。

いよいよ、明日渡米する。
パパもママも心配してるんだろうな。
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