豊中まわり

娘のように

涼が恋に落ちた小5年の春から、
私もこの子が気になってしょうがなかった。

ずっと見つめ続けて、
私にとっても大事な存在になっていた。

色々な女の子が涼の回りにいたが、
この子以上の子にまだ出会ったことがない。

優しさ、聡明さ、謙虚さ、
凛とした芯を持ちながらも
美しい容姿も兼ね備えている。

こんな娘がいたら最高だ。

涼と私の好みは一緒だな。

「涼、今、人生で1番幸せそうなの。あんなに楽しそうなの小5の時以来よ。
結莉ちゃん…たぶん、今みたいなことがたくさんあったんじゃない?
涼が 勇気出したおかげで、ようやく助けてあげることができたわ。
涼にも言っとく。もっとちゃんと守れ!って。」

綺麗な瞳を潤ませて、
私の目をしっかり見て彼女は言った。

「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

あぁ。やっぱりいい。

涼にはもったいないぐらい。

また泣き出した結莉ちゃんの頭をポンポンと撫でた。

幼い子のように可愛らしかった。

そこへ、

「母さん、何やってんだよ!」

と、わけのわかっていないバカ息子がやってきた。

もとはと言えば、あんたがしっかりしないからでしょ。

モテるのに甘んじて、
ハッキリしない態度のあんたが悪い。

結莉ちゃんが

「違うの…助けてもらったの…」

ってまた可愛いこというから、
ホントにあの バカ息子とトレードして欲しいほどだった。

涼はわけのわからない様子で、

「えっ?どういうこと?」

と困惑している。

「彼女出来てよかったね。小5からだもんね。」

とふざけて言うと、涼が顔を赤くして、

「小5からっていうな。」

少し怒ったように言った。

3人で笑った。

「また、家にも遊びにきて。小5の時、絶対また遊びに来てって言ったのに。時間かかったわね。涼。」

「うっさいな。」

と息子は悪態をついているが、結莉ちゃんは

「遊びに行きます。ありがとうございます。」

この子のこういう所大好き。

出来るようで、誰もが出来るわけじゃない。

礼儀正しさや、年上の人への接し方は。

「そういえば、涼。さっき同じ学校の子が、彼女になるのは私の予定!って言ってたわよ。確か…あやか…とかいう。感じ悪い子。」

「誰だよそれ。女子の名前なんてひとりも知らねぇよ。」

結莉ちゃんと顔を見合わせて、

また笑った。



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