晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
心臓がどくんと波打ち、やがてそれは指先の血管にまで伝染していく。


なんで。なんでなんでなんで!

あんたの言葉に、私は強くいられないのに。


じわりと視界が滲むのに気付かないふりをして、そっと封筒を持ち上げる。

ここで封を開く勇気はなかった。だって、絶対、泣いちゃうから。


靴箱の中から取り出して、その表面を優しく撫でる。

なんでだろう。紙が温もりを宿してるはずなんてないのに、あったかく感じるよ。


意地を張って、リョータの想いを突っぱねたいと思っていた気持ちが、雪が溶けるように静かに消えていく。

やっぱり、リョータはすごいや。


手紙を胸に抱き締めて、門まで駆けようと校舎を出た時。


「ちづ」


声がした方を振り向くと、康介が部室棟の方から暗闇の中を歩いてきていた。

一緒に帰る約束はしてない。サッカー部のミーティング長引いてそうだったし、一緒に帰る気分じゃないしで今日は先に帰ろうと思ってたんだけど。
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