晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
なんて私は非力なんだろう。

例えば私がお医者さんだったなら、苦しむリョータを少しでも楽にさせてあげられるかもしれないのに。

昔からの付き合いだったなら、どんなことをすればリョータが喜んでくれるかわかるかもしれないのに。

私達の出会いは偶然であり必然だった。わかっているのに、違った形で出会っていたらと思わずにはいられない。


「ほんとに、敵わないなぁ……」

「え?」

「ううん、こっちの話。そんなことより……テスト、お疲れ様。約束してた本、そこの棚の紙袋の中に入ってるから、持って帰って」


体を起こすこともつらいのか、彼は視線だけを棚に向けた。

そこには、リョータの言った通りチェック柄の紙袋が置かれている。


「ありがと。出来るだけ、早く読むね」

「ゆっくりで、大丈夫だよ。もう俺、読んだし……返さなくて、いいから」

「も……貰えないよ。それに、いつか読み返すかもしれないでしょ……?」


相変わらず眉間に皺を寄せたまま、リョータが笑う。

何も言わずに、ただ力なく。
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