ホテル王と偽りマリアージュ
フッと気付いたら、ブラウンのカーテンの隙間から薄く光が射し込んできていた。
突っ伏していたベッドから顔を上げ、そのまま目線だけスライドさせる。
このベッドの主である一哉が、割と穏やかな呼吸に胸を上下させながら眠っていた。


あの後、一哉は全く起きる気配がなかったから、私はクラブの黒服の手を借りて彼をマンションに連れ帰った。
タクシーを降りてから部屋までは、一哉の左腕を肩から担ぐようにして引き摺った。
見た目スラッとスリムな一哉だけど、意外と逞しいのは知ってる。
それでなくても、全く意識もなく泥酔しているそれなりの体格の男一人を担いで歩くのは、結構至難の業だった。
おかげで、一哉をベッドに放り出すように転がした後は、身体の節々が痛かった。


人の気も知らず、固く目を閉じたままの一哉を心の中で罵りながら、私は彼のベッドサイドに両腕をのせて、青白い顔をぼんやりと眺めていた。


そう言えば私も熱を出した時、こんな風に一哉に寝顔を見られたんだっけな、と思い出し、頬が熱くなるのを感じた。
それでも、酔い潰れた一哉が急に具合が悪くなったりしたら大変!と気になって、結局彼のベッドに突っ伏したまま眠ってしまい、そのまま朝を迎えてしまったようだ。
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