ホテル王と偽りマリアージュ
十二月が迫り、街にクリスマスムードが深まる中、ホテルの宿泊棟の方でもクリスマスらしい派手で賑やかな飾り付けが施されていた。
毎年広報部が頑張って、集客の為に新聞広告を載せるから、宿泊客ではないお客さんもロビーで記念撮影をしたりする。
例年、一番ホテルが華やぐシーズンだ。
そんな中、内部ではちょっときな臭い噂が流れ始めていた。
年明け二月に予定されている、一哉の社長就任のセレモニーが延期になるかもしれない、というものだった。
最初に社内でその噂を耳にした時、光の速さで伝わる噂というものを、生まれて初めて本気で怖いと思った。
どこが出どころだかわからない。
だけど、大筋で間違っていないことを、私はその前に一哉のご両親から聞いて知っていた。
『ここに来て要が名乗り上げてきてね。一哉の社長就任の一般披露は、年度末まで待って欲しいと』
お義父さんが、わずかに厳しい表情を浮かべて私にそう教えてくれた。
『この話は元々要にも打診していたものだし、もちろん彼も社長として申し分ない人材だ。ただ、今回はもう一哉に任せてアメリカでも動いてもらってることだし、とても取り合える状況じゃない。しかし要のヤツ、急なトップ交代でも文句を言わせないよう、今年中に今期の実績を二倍に計上して見せると宣言してきてね』
いつもは朗らかなお義母さんまで、眉をひそめて浮かない表情を隠せずにいた。
毎年広報部が頑張って、集客の為に新聞広告を載せるから、宿泊客ではないお客さんもロビーで記念撮影をしたりする。
例年、一番ホテルが華やぐシーズンだ。
そんな中、内部ではちょっときな臭い噂が流れ始めていた。
年明け二月に予定されている、一哉の社長就任のセレモニーが延期になるかもしれない、というものだった。
最初に社内でその噂を耳にした時、光の速さで伝わる噂というものを、生まれて初めて本気で怖いと思った。
どこが出どころだかわからない。
だけど、大筋で間違っていないことを、私はその前に一哉のご両親から聞いて知っていた。
『ここに来て要が名乗り上げてきてね。一哉の社長就任の一般披露は、年度末まで待って欲しいと』
お義父さんが、わずかに厳しい表情を浮かべて私にそう教えてくれた。
『この話は元々要にも打診していたものだし、もちろん彼も社長として申し分ない人材だ。ただ、今回はもう一哉に任せてアメリカでも動いてもらってることだし、とても取り合える状況じゃない。しかし要のヤツ、急なトップ交代でも文句を言わせないよう、今年中に今期の実績を二倍に計上して見せると宣言してきてね』
いつもは朗らかなお義母さんまで、眉をひそめて浮かない表情を隠せずにいた。