ホテル王と偽りマリアージュ
成田からニューヨークまでの飛行時間は約十三時間。
途中日付変更線を越えて、私は無事、ニューヨークに到着した。


約束通り空港で出迎えてくれた一哉は、仕事の途中でキリッとスーツ姿。
私をホテルに送り届けたら、彼はそのまま仕事に戻るらしい。
タクシーの運転手さんに流暢な英語でホテルに向かうよう告げると、後部座席のシートにゆったりと背を預けた。


『ごめんね』と『ありがとう』を告げてから、私も一哉の隣でシートに身体を埋めた。


飛行機は分不相応にもビジネスクラスで、窮屈な思いもせず快適だったけど、よく眠れたとはとても言えない。
初めてのニューヨーク、一人きりの飛行機、そして要さんからの預かり物もあり、それなりに緊張もあったのかもしれない。
一哉の顔を見てホッとした途端、急に睡魔に襲われた。


話すことはたくさんあるのに、目蓋の重みに抗えない。
空港からほんの数キロ走った辺りから、私はうつらうつらとし始めた。


そんな私に、『寝てていいよ』と一哉は言ってくれた。
私の為に仕事を調整して迎えに来てくれた一哉に申し訳ないと頑張ったけど、容赦なく襲い掛かる眠気には勝てない。
ホテルまでの道のり、私は一哉の肩を借りて眠ってしまった。
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