ホテル王と偽りマリアージュ
一哉の仕事が終わったなら、お互いニューヨークでのんびり過ごしているわけにはいかないのが現状だ。
暦の関係で仕事始めは一月四日。
ニューヨークからの帰国便を一月三日に変更して、残りの二日間は約束通り、私は一哉をガイドにニューヨーク観光に繰り出した。


彼と一緒に回るのを楽しみに、十二月中は行くのを我慢していた有名観光スポット巡り。
リバティーアイランドに自由の女神。
昼のタイムズスクエアに、グラウンド・ゼロ。
セントラルパークをのんびり散歩したりもした。
仕事の関係で一哉が今回何度も足を運んでいたという、世界的な金融街・ウォールストリートにも連れて行ってもらった。
彼は最後まで『もう行きたくない』とごねていたけれど。


ロックフェラーセンターのクリスマスツリーが見れなかったのは残念だけど、来年に期待することにして、最終日の最後に、一哉が社長になる予定の新ホテルの建設地を訪れた。


ニューイヤーホリデイのせいで工事も休み。
建設途中で未完成の巨大なホテルの周りに人通りは少なく、閑散とした物悲しさは漂うけれど。
オープンまではまだ一年あるし、どの程度施工が進んでいるのかと思ってたら、ホテルの建物としては、一部を除いてそれなりの外観に仕上がっていた。
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