ホテル王と偽りマリアージュ
オープニングセレモニーが始まり、会場に足を踏み入れた私と一哉は、一瞬のざわめきの後、大歓声に包まれた。
広い会場のあちこちから、『So Beautiful!』『Congraturations!』『Happy Wedding!』と祝福の声が湧き上がる。
オープニングセレモニーなのに、どっちが本来の趣旨か、わからなくなりそうなほどの祝福ようだ。


アメリカ財政界、経済産業界の大物たちを前に、『この晴れ舞台を本当の誓いの場にする』なんて、かなり冒険的な奇策だと思ってた。
どう受け止められるか心配だったけど、大半がアメリカ人のこの会場では、ちょっとしたサプライズとして余興効果もあったみたいだ。


それと言うのも、一哉のスピーチがウィットに富んだものだったせいでもある。
流暢な英語でホテルオープンの挨拶を終えた後、彼のスピーチは日本とアメリカのホテルチェーンの経営統合の発表に移った。


『言わば企業同士の結婚です。私はみなさんの立ち会いの下で、誓います。双方の傘下にあるホテルの全てが。そこで働く従業員とその家族が。今以上の成功と幸福に満たされるよう、アメリカ事業本部総責任者として、ニューヨークのホテルプレジデントとして、これまで以上に精進して参る所存です』
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