だから今夜も眠れない
♪♪♪♪♪……

握りしめてた携帯から着信が!

まさか、まさか王子さま?

画面を見てがっかりする、なんだお母さんか。

がっかりしつつ電話に出る。


「はい。どうした?」

『どうしたじゃないわよ、なあにちっとも連絡して来ないで!

親をなんだと思ってんのよ!』

キンキン甲高い声で怒鳴られた。

ひたすら誤りをいれる私に母はさらに冷や水をかける。

『達伯父さん亡くなったのよ、あんた休みとってこっち来られないかしら?』


え……


私は、言葉を失った。

だって小さいときはお嫁さんになりたいって思うほど大好きな伯父さんだったから。

生涯独身を通して、孤高の画家を気取っていた伯父。

小さな葉書に描いた絵でも、数百万の値がつく人気画家だった。

個展や画集は常に評判が高かった。

絵もさることながら、その容姿が注目を集めてもいた。

イケメンなのだ。

つい最近も女優と浮き名を流してたのじゃなかったっけ?

『ちょっと、聞いてる?どうなの?来られないの?』


「うん連絡して都合つける。たぶん大丈夫だと思う。明日行くね時間はちょっと分からないけど」




< 10 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop