だから今夜も眠れない
「大丈夫ですか?持てますか?」

「はあ、なんとか……」

駅の売店で、巨大な包みを渡されよろよろと歩く。


『来るとき悪いけどお茶菓子買って来てちょうだい。

東京の有名処のやつをほら、バナナのとかゴマの丸いやつがいいわ。

一番大きい包み10個づつね』


有無を言わせぬ母のオーダーに、

いつもながら減なりしつつ、

ノーと言わなかったあの時の私に今思いっきり後悔していた。


着替えとかそういうのはもう向こうで調達することにしておいて良かった。


化粧ポーチとお財布だけ入れたバッグを首から下げ、

両手に数万円も払ったお菓子を両手に電車に飛び乗った。


母からの電話の後、

館長に事情を説明し、お休みを頂くために電話をすると、

お悔やみと共に必要なだけ休みをとっていいという返事が返ってきた。


クラフトルームは暫く休止するから大丈夫、

ボランティアスタッフには連絡網を回してくれると言って下さった。

やけに親切だなあと思ったら、

この数日元気がなかったのはそのせいだったのだねと完全に誤解してたようだった。

ありがたいから、否定せずそういうことにしておいた。


百合川さんには、洸とのことバレてるからメールでそういうことにしてくれる様にお願いしておこう。




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