だから今夜も眠れない
荷物を網棚になんとか納めると、

シートに座って善は急げとスマホの画面を開く。

着信の点滅があり、知らないアドレスからメールが入っていた。

「あっ、王子……」

-----早速送って頂きありがとうございました。

メールでのお礼で申し訳ありません。リュカの母親が喜んでいました。-------



これだけか、って当たり前だよね。

お礼をメールでくれるだけだって気持ちがこもってる。


「そうだよね……」


何度か読み返して、メールを閉じた。

百合川さんにメールを打つ気はなくなって、

その代わりに写真のアルバムからあの親子の笑顔の写真を開いた。

「やっぱ素敵だよねえ」

きゅんと胸が痛くなって、結構ガッカリしてる自分がかわいそうになった。


初めから期待なんかしてないって強がってたくせに、

やっぱこうやってショック受けちゃって、

私ったらしょうもないね。

めっちゃ期待してたんじゃん。





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