だから今夜も眠れない
「ココ???」

2年も来ないうちに周りの様子はすっかり変わっていた。


 伯父さんのアトリエのある5階建てのビルの隣には、

BCなんとかっていう洒落た55階建てのビルは、

今にも押しつぶしてやるぞっていうように聳え建っていた。


ああ、この状況だっかでみたことがある。

昔好きでよく読んだ小さな家っていう絵本だ。

最後は家が田舎に越して行くんだったっけ。


やーさすがにビルは無理だよね~。


見下げられてるようで気分は悪いけど、こっちの方が先に建ってたんだもの、新参ものには負けてないぞお!とか、

勝手に気合いをいれて

画廊のシャッターの鍵を回し、ぐっと引き上げた。

がらがらっ

金属が軋む音がしばらく開けてなかったんだと言うことを物語っている。

埃っぽい空気の中を突き進む。屋上直通エレベーターは、昔の洋画に出てくるような無機質なつくりかなり乗り心地が悪い。

壁スイッチを押すとガシャガシャと不細工な音を立てて開いた。

足を踏み入れると、

グラグラっと徐に揺れる。

「だ、大丈夫なの?」

手すりひとつないエレベーター、自分が荷物になった気分だ。

Up のスイッチを押すと、

再びガシャガシャと無駄にうるさい音を立てて閉まり上がり始めた。

ひーっ

伯父さん新手のお化け屋敷だよスリルありすぎ。








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