だから今夜も眠れない
「か、館長っす、すみませんっ!」

バタバタとリュカちゃんの元に駆け寄ると、

寝ぼけているのか、ママーママーと泣き続けた。

抱き上げた私の身体をばしばしと叩いて、

大暴れだ。


「すまん」

「え?」

館長は本当に申し訳なさそうに眉を下げた。


「よく寝ていたんだが、
ソファーから落ちるんじゃないかと思って少し奥にしようと抱えたら起こしてしまって、

本当にすまん」


「いえ、わたしがこんなところに寝かしつけてしまったのですもの」

「私は、……どうも子どもには好かれないらしくて、

馬子にもすっかり嫌われていてるんだよ」

「お孫さん……そうなんですか。

 でも、館長リュカちゃんは寝起きでぐずってるだけです。

この子聞きわけのいい子で、

その分こういう時に自分が出ちゃうんだと思います。

あっそうだ!」


私はスマ歩ホを取りだすとあわててあのアプリをタップした。

鳴りだす決して聞き心地のいいものではない音。


ZZZZZZZZZZZZZZZZZZ---------っ



驚く館長をよそに小さめな音量にしてリュカちゃんの顔のそばに近づけた。


ぐずぐずしていたのがまるで嘘のように、

静かになって再び眠り始めた。

本当なんだこれ。

冗談だと思っていたこのいびきアプリの効力に、

半分あきれながら感謝した。






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