だから今夜も眠れない
そもそも写真も記録用に始めたものを、

折角だからとサービスで渡すようになったらしいのだが、

お客様がお帰りになる前に準備するのは忙しいし、

インクや用紙の代金の出所を問題にされたり、

公的機関は常に省力化、省サービス化が課せられており、

真っ先に止めようという話題に挙げられている。

しかし、始めたものを止めるのは、

誰が最初に猫に鈴をつけるのかというような童話にもあるように、

中々変えられないまま、結局止めず続けているのだ。


王子は答えは予想していたらしく、

そのまま納得されたようだったけれど、

何となく残念そうに見えて、

何とかしてあげたくなってしまった。


だって、麗しの王子様だし……


「あの……もし……よろしければメールアドレス頂ければ個人的にお送りしましょうか？

な、内緒ですが」


と、コッソリと提案。


「お願いします」

内ポケットから名刺入れを取りだし、

素早く一枚引き抜くとさらさらとアドレスを書き込んだ。


「私の会社のPCのアドレスです。こちらにお願いします」

「かしこまりました」

極上の笑顔を残すと、小さなレディを連れてお帰りなった。


職権乱用しちゃったかな？


えへへ連絡先ゲットしてしまった。(会社のPCのだけども)

名刺に書かれていたお名前。

山積　宗太郎さん

なんてジャパニージーな名前なのでしょう。

でも素敵、宗太郎さん宗太郎様ぁ♡


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