女の子として見てください!
気持ちがちょっと軽くなったので、私はコーヒーカップを流しで洗い、水切り場にコップを伏せると、「先に戻るね」と飯尾君に告げた。

そして、彼に背中を向けて給湯室をあとにしようとしたその時。


「美桜さん」

呼び止められるかのように名前を呼ばれたので、私は足を止め、顔だけ彼に振り返った。
すると。


「俺、さっきも言ったけど美桜さんのこと応援してますよ。それは本当の気持ちです。
……だけど、正直、その恋はちょっと厳しいかもって思ってます」

「え?」

「俺、伊浅さんが異動してきた時、『お久しぶりです』ってもちろんあいさつしたんですけど、その時にやっぱどうしても姉の話になって。
姉、もうすぐ結婚するんですよ。
俺がそれを伊浅さんに伝えたら、なんか……すごく寂しそうな顔をしたんです」

「寂しそうな、顔?」

私の聞き返しに、彼はコクン、と頷いてから。

「俺は、姉と伊浅さんがなんで別れたのか、その辺の事情は全然知らないんですけど、伊浅さんのあの表情からして、伊浅さんはまだ姉のことが忘れられないんじゃないかな、って思ったんです」

まだ、忘れられない。
でも、それはありえるよね。
だってユキさん、あんなに素敵な人なんだし。


「あ、すみません、なんか暗い感じになっちゃいましたね。えと、空気を重くしたかったわけじゃなくて、俺が言いたかったのは……。
俺、美桜さんのこと先輩としてめっちゃ尊敬してるし、大好きなんで、もし伊浅さんとのことがダメだったとしてもいつでも俺にグチってくださいよ!」

「え?」

「なんでも話聞くし、なんだったら合コンとかセッティングしますから!
だから最後まで、美桜さんらしくがんばってください!」
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