女の子として見てください!
署の入口の門前で、光太郎が私の足音に反応して振り返る。


「美桜さん! 急にすみません!」

学校帰りのようで、彼は昼間に会った時と同じ学ランを着て、通学カバンも持っていた。


「ううん、ちょうど帰るところだったし。でも急にどうしたの?」

「ちょっと話したいことがあって。
美桜さんも帰るところならちょうど良かったです! どこかお茶でもしていきませんか?」

え……っ、と私は言葉につまってしまう。


「えと、私これから人と待ち合わせする予定があって……」

と、私は自分の都合を正直に伝えるけど。


「どうしてもダメ、ですか? 俺、普段は委員会とか塾とかがあって、この時間にヒマなの今日くらいしかないんです」

う……。
シュンとした表情で『今日しかない』と言われると、どうしても断りづらくて。


「……わかった。大丈夫だよ」


最初の予定では、このあと、なにがなんでも翔さんの誤解を解く予定だったけど、実際は怒ってたわけじゃなさそうだし。
ちょっと残念だけど、食事は延期にしてもらおう。次の機会はいつでもあるはずだ。

私は、光太郎君に「ちょっと待ってね」と伝えると、翔さんにLINEを打つ。

【ごめんなさい。今日の食事ですが、急な予定が入ってしまいました。私から誘ったのに本当にすみません。】

すぐに既読になり、【了解。急用なら仕方ない。】という返信がきた。

やっぱり怒ってないみたい。良かった。

私は光太郎君といっしょに、署の近くにある喫茶店へと向かった。
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