女の子として見てください!
壁の向こうには小さなスペースがあるだけで、そこ自体にはなにもなかったけど、マスクの男は今度はそのスペースの地面に手をかける。

すると、そこには目に見えにくいフタのようなものがあったみたいで、そのフタを外すと、なんと地下に続く階段のようなものが現れた。


「なにこれ……」

と、思わず本音がこぼれた。


「ビックリした? 昔ここに家があって、家は取り壊されたんだけど、その家の地下書庫だけが実は残ってたんだよねー。そこをコッソリ秘密基地にしてるってわけ。壁の仕組みは俺が作ったんだけどね」

マスクの男が誇らしげな口調でそう言うから、私も「そうなんだぁ~。すごぉい」と話を合わせる。


ふたりの男は、壁を戻したあと階段を下りていくので、私もそのうしろをついていく。


薄暗い、地下室への階段。
階段は長くないけど、薄暗いからゆっくりと下りていく。
階段を下りながら、私はふたりに質問をしてみる。


「この秘密基地で、普段ふたりはどんなことをしているんですか?」

私が警戒していないように見えた方がふたりも気を緩ませていろいろ話してくれると思い、明るく問いかける。するとふたりは案の定。


「人に見られちゃいけない撮影とか?」

「連れてきた女の子に休憩してもらったりとか?」

と、ペラペラ話し始める。よし、私は彼らに警戒されていないようだ。大方、お金に飢えてる股の緩そうなOLとでも思われているのだろう。


なので私は、さらに質問をたたみかける。


「私のほかにも女の子がいるんですか?」

「うん、いるよー。といっても、まだ女子高生がひとりだけだけどね。
夕方、君みたいにキャバクラの前でウロウロしてたから声かけたんだよね。
……でも、まぁ。その子は君みたいに従順じゃなくて、すぐに察して逃げようとしたんだけど」

「でも、秘密基地見られて逃がすわけないっしょってことで、無理やり連れてきて休憩……つか監禁? してるんだよねー。もうちょい人数が欲しいから、まだ手は出してないけどー」


……なるほど?大体わかってきた。
要は、ヤバいビデオの撮影をするために、金の欲しそうな女性をいっぱい連れ込みたいわけね。
私は成人だから売春にはあてはまらないけど、彼らがとくに欲しがってるのは女子高生みたいだから、売春というウワサは間違っていなかったみたい。
だけど話を聞く限り、彼らの計画が思ったよりも早く私たち警察の耳に届いたおかげで、まだ被害は最小限に抑えられそう。


だから。


「ねぇお兄さんたち。監禁してる女の子の名前、教えて?」

「え? 名前なんて聞いてどうすんの? まぁいいけど。えーと……確か、神保 葉子とか言ったっけな。本名なんかどうでもいいからちゃんと覚えてないけど。
そんなことより、お姉さんも後で、俺らが用意したセーラー服着てよね? 大丈夫、お姉さんならきっと似合……」

言いながらこっちを振り向いたマスクの男の胸ぐらを私は掴み、そのままその場に叩きつけるようにして投げた。
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