独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
あたしは小さくため息をついた。

意識しないようにしているのに、目線は自然と焼き鳥を焼いている下風代理の方に向いてしまう。

ハッピはすぐ後ろの椅子の背もたれに掛けて、Tシャツとジーパン姿で作業していた。


Tシャツからのぞくたくましい腕と、炭で黒くなった軍手。

頭にタオルを巻いてはいるものの、こめかみには汗がじんわり滲んでいる。


あたしは祐介への罪悪感から、下風代理の想いも断ち切ろうと思っていた。

それなのに金庫では毎日顔を合わせ、社宅へ帰るとその存在を意識してしまう。


簡単なことではないのはわかるけど、頭の中から追い出すことはやっぱりできない。


それどころか今みたいに、きゅんとときめいたりしてしまうもんだから、ますます祐介への罪悪感は募るばかりだ。

< 121 / 250 >

この作品をシェア

pagetop