独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
抱きしめられたその腕が温かいせいか、それともずっとこうなることを望んでいたせいかはわからない。


あたしは泣きながら、それでもしばらくはこのままでいたいと思う。


だんだんとしゃっくりも落ち着いてきたころには、下風代理はあたしの前髪が顔にかからないように、優しく掻き上げるようあたしのおでこを撫でていた。


恐る恐るあたしは顔をあげて、ゆっくりと彼の表情を覗き込む。


下風代理のその表情を例えて言うならば、あたしを心配しているような顔だろうか。


何かを考えているようにも見える。

眉を下げ、目元は湿っているようだった。

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