独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「…もう離してください。
どうしてこんなことするんですか」

なぐさめのつもりかもしれないが、こうして抱きしめられたらやっぱり期待してしまう。


それなのに、彼の腕にはさらに力が入る。


「…こうして泣いてしまうほど、俺のこと好きでいてくれたんだなって思うと、なんかすごく抱きしめたくなった。

傷つけてごめん、だけど今はまだ離したくないんだ。

離したらその瞬間に消えてしまうんじゃないかって思うんだよ…」


だんだんと彼の声は、か細く震えていく。


苦しいと思うと、胸の中がぎゅうっと縮む。
一旦は落ち着いた涙が再び溢れ出していく。

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