独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
大野さんもすでに夕食は済んでいたので、『かすがや』では飲み物と軽いつまみを頼んだ。

「すいません、明日も仕事なのに」

「逆だよ。明日も仕事だから、今日のうちにすっきりさせておかないと駄目だろ?

俺もちょうどビール飲みたかったしさ」


大野さんはその明るい性格で、春日支店の中でもムードメーカーの位置にいる。

彼のこうしたテンションは時に鬱陶しく思うものの、今はそのテンションに救われて、軽くだが気持ちを紛らわすことができた。


「シモさんになんか言われたのか?」


さっき何も話さなくていいって言ったくせに、結局この人は聞いてきた。

だけどあの現場を見られているし、言い訳するよりは話してしまった方がすっきりする気がして、あたしは大野さんに今あった事を話した。


それでも悔しいから、下風代理に彼女がいることは話さずに、ただあたしが振られた事だけを話した。

< 208 / 250 >

この作品をシェア

pagetop