独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「どうしたの?大丈夫?」

「すいません、なんでもないんです」


「何言ってんの、そんな顔してなんでもないわけないじゃん!

ほら、今から『かすがや』行くよ!

辛いことなら何も話さなくていいから、とりあえず酒でも飲んですっきりしようよ」


急な誘いだし気分も乗らなかった。

だけどそれを断る元気すらないし、家に帰ってもどうせウジウジと泣いているだけな気がする。

今日はすでに酒は飲んでいたが、すっきりしたいのは本当だったので、あたしは大野さんと『かすがや』に行く事にした。


「一回部屋で顔を洗って着替えてきます」

「オッケー!
準備できたらインターホン鳴らして」


あたしが社宅の階段を登っている途中に、下風代理の部屋からカチャっと、ゆっくり鍵をかける音がした。


きっと扉の向こうで、今のあたしたちのやりとりを聞いていたのだろう。

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