独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
こうした噂はすべて、若手の男性職員の間で流れている話なのだが、下風代理に騙される女(便宜上、そういう言い方をしていた)のことを、


『シモガール』


と、彼らの間では呼んでいるそうだ。


あたしはその話を聞いた瞬間、飲んでいた巨峰サワーを吹き出しそうになった。


「面白いだろ?
だから、香坂ちゃんはシモガールにならなくて良かったんだよ。

うっかりシモガールなんかになったら、俺らのネタになるところだったんだからね」


「…確かにそうかも」


少しだけど、吹っ切れた気がした。

さっきまであれだけ泣いていたのが嘘みたいに、今はちゃんと笑うことができる。


「そんだけ笑えるなら大丈夫だ。明日からも頑張れるな」

「はい、ありがとうございます」

< 212 / 250 >

この作品をシェア

pagetop